1980年代以降、世界各国で俗にビッグバンと呼ばれる大規模な金融規制緩和が実施されるようになりました。それ以前は、資金の流れが1つの国家や地域内で完結されているケースが多かったのですが、経済の急速な発展や東西冷戦の終結、情報・通信システムの統合、欧州連合の設立などが立て続けに起こり、状況が一変しました。資金の流れを一国や一地域などの狭い範囲に限定させてしまっていては、発展にも限界があります。また、国家の枠などにとらわれずに地球的規模で課題に取り組むことによって、より高い効果を得ることが可能になると考えられるようになりました。
その結果、実現したのが金融のグローバル化です。確かに、企業や個人が国境を気にすることなく自由に経済活動することができると、非常に便利です。なぜならば、その時に最も高い投資効果が期待できる場所に、確実に資金を投入することができるからです。しかし、その反面、一部の巨大企業による市場の独占や寡占、特定の国の経済危機が世界的規模の危機にまで発展してしまうなどの、悪影響も出現するようになってきました。つまり、拡大の一途を遂げている金融のグローバル化は、メリットもデメリットもある両刃の剣だと言うことができるのです。